日本の駅名の中には、その地域によって一つの漢字が同じ読み方をする場合がある。例えば、北海道や東北北部の駅で「内」がつくと、恩根内(JR宗谷本線、北海道)や沼宮内(JR東北本線、岩手県)のように、ほとんどが「ない」と読み、九州の駅で「原」がつくと、高原(JR吉都線、宮崎県)や新田原(JR日豊本線。福岡県)のように、ほとんどが「はる」ないし「ばる」と読む。しかしこれらは、あくまで北海道、東北北部や九州という特定の一地域にのみ当てはまる現象にすぎず、それ以外の広い地域では、「内」は「うち」、「原」は「はら」または「わら」と読むことが圧倒的に多い。
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これに対して、「谷」のつく駅名を調べてみると、それを「や」と読むか「たに」と読むかによって、まさに全国が東と西に分かれるのである。ちなみに、次の同じ熟語の入った駅名の組み合わせを見ていただきたい。大谷海岸(JR気仙沼線、宮城県)、大谷向(東武鬼怒川線、栃木県)大谷(JR和歌山線、和歌山県。京阪京津線、滋賀県)、阿波大谷(JR鳴門線、徳鳥県)竜谷(JR只見線、福島県)、越後滝谷(JRヒ越線、新潟県)滝谷(南海高野線、大阪府)、滝谷不動(近鉄長野線、大阪府)三河三谷(JR東海道本線、愛知県)三谷(井原鉄道、岡山県。JR山口線、山口県)どの組み合わせも、東日本にある駅名が「谷」を「や」と読み、西日本にある駅名が「谷」を「たに」と読むことに気づくだろう。もちろん鴬谷(RJ山手・京浜東北線、東京都)や青谷(JR山陰本線、鳥取県)のような例外はある。だがこの傾向は、北海道から九州までの「谷」のつく駅名に、かなりはっきりと認められる。